予防接種とは
成人向けの予防接種として当院では、インフルエンザと肺炎球菌(13価・23価)、MR、破傷風、ムンプス(おたふく)のワクチン接種をそれぞれ実施しています。
ワクチンは、感染症の原因となる各種の細菌やウイルスの病原性を弱めたり、また、それらを無毒化したりしてつくられるものです。これを体内に注入することで、抗体(病原体と結合し、それを体内から除去するように働くたんぱく分子)をつくらせ、特定の病気に対して感染をしにくい状態にするほか、万一その病気にかかったとしても軽く済むようになります。これが予防接種です。
そのほかのワクチン接種をご希望される方は、お気軽にご相談ください。
インフルエンザワクチン
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症です。同ウイルスに感染すると1~3日くらいの潜伏期間を経た後に発症し、38℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、寒気などの全身症状が現れます。併せて風邪の症状と同じように、喉の痛み、鼻水、せきなどの症状もみられます。小児の患者では、痙攣(けいれん)や中耳炎、まれに急性脳症の症状も現れます。また高齢者や基礎疾患をお持ちの方では肺炎を併発するなど、重症化する可能性もあります。
このようなインフルエンザを予防する対策として流行前のワクチン接種があります。なお、インフルエンザウイルスは毎年少しずつ性質を変える特徴があるので、異なるタイプが流行します。それに対抗しうるためにも、予防接種は毎年行うようにしてください。
インフルエンザワクチンは、接種してから効果が出るまでに2週間ほどかかりますが、その効果は約5ヵ月間持続します。日本であれば、例年12月~翌3月頃にインフルエンザが流行しますので、接種時期としては毎年12月中旬頃までに行うのが望ましいと思われます。
肺炎球菌ワクチン
肺炎は、高齢者の方や基礎疾患を持っている方などにかかりやすく、しかも治りにくい傾向があります。
肺炎を予防するための有効な対策のひとつが肺炎球菌ワクチンの接種です。肺炎の原因菌で最も多いとみられるのは、肺炎球菌(大人の肺炎の20~40%は、この菌が原因と言われます)と言われています。肺炎球菌ワクチンを接種することで、肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防するほか、重症化を防ぎます(※肺炎球菌ワクチンはすべての肺炎を予防できるわけではありませんので、接種をしたといっても、うがい・手洗い・口腔衛生など日常生活上の予防対策は怠らないでください)。
また、インフルエンザワクチンの接種を併せて行うと、肺炎予防の強化につながります。そのため、肺炎予防には、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの併用接種が推奨されています。
なお、高齢者を対象とした肺炎球菌感染症の予防接種は、「定期」予防接種です。定期対象年齢(65歳)に該当し、過去に接種歴のない方、または60歳以上65歳未満で、心臓、腎臓、呼吸器または免疫の機能障害などにより、身体障害者手帳1級相当の方(過去に肺炎球菌ワクチンを接種した方は除く)は、「定期費用助成」の対象となります。詳細は川崎市のホームページをご覧ください。
※肺炎球菌ワクチンは接種後5年以内に再接種を行うと、注射部位の痛みが強く出るケースがありますので、再接種を希望される方は、5年以上の間隔を空けてください。
予防接種後の注意点について
予防接種終了後30分程度は、接種を受けた医療機関にそのまま留まるか、医師とすぐに連絡が取れるようにしておいてください。接種部位に異常な反応が現れたり、体調に変化が生じたりしたような際は、速やかに医師の診察を受けてください。
また、接種部位は清潔を保ち、接種後24時間以内は体調が変化する怖れがありますので、過激な運動や過ぎた飲酒は控えるようにしてください。